2007年09月10日

第127回『ぞっとしない』

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劇団上海自転車主宰(拠点・愛知) 中野菜保子

 文化庁が実施した、「国語に関する世論調査」の結果が発表された。

 現在、所謂“本を読むヒト“というのが100人に1人程度なのだそうで、結果の悲惨さはそれだけでも予想がつく。自分自身ですらモノを書いていて、「おっと、こんな言い回しでよかったかな?」と不安になるコトがあるのだから、あまりヒトのコトは言えない。

 慣用句の誤用として目立つのが「流れにさおさす」(意味間違い)・「そうは問屋が卸さない」(問屋が許さない、と誤用)・「ぞっとしない」(意味間違い)・「熱にうかされる」(うなされる、と誤用)…などだそうだ。

 活字離れも大きな原因の1つではあるが、誤用の原因としてワタシが思うのは、これらの慣用句に対するイメージが出来ていないからではないか、というコトである。
  
 問屋は卸すのが仕事だ。熱にうなされるのは病気のトキ。

 「流れにさおさす」というのは、川を渡る舟に勢いをつけるため、さおで地面を押し、流れに乗るところから来ている。おそらくこの慣用句が出来たころにはそういった風景が日常的によく観られたのに違いないが、今となっては意識的に川遊びにでも行かない限りみられない。
 もしくはTVで、高橋英樹が旅の出で立ちで傘を持って舟に乗っている様子が観察できるくらいだ。

 コトバとカラダが今よりも密接に関係していた頃にできた慣用句は、覚え間違いも多いのではないだろうか。
 やったコトも見たコトもないものはやっぱりピンとこないものだし、イメージができないと記憶にも残らない。そして誤用が始まる。

 これを防ぐには、例えば国語の授業で慣用句が出てきた場合に、@意味とあわせてできる限り語源を説明する(イメージを持たせる)A誤用しやすいと注意を促す。(すでに間違って覚えている相手の知識をハッキリさせることにもなる)B誤用するいい回しとの違いを説明する、など意識的に留意してもらうのが1番いいのではないだろうか。

 体験してもらうなり映像や写真などをみる機会を与えるのもいいかもしれないけれど、「この忙しいのに!」という現場ばかりだとは思う。

 慣用句に“振り付け”するのもいいだろう。熱に浮かされた様子なんかをクラスみんなでやれば、かなり陽気な授業になる。

 …これだけ力説したにも関わらず、「普段使わないから誤用が多いんじゃないの?」「そこまでしてなんで覚えないといけないの」なんていわれると、ぞっとしないけれど。

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