
BACK STAGE 北原登志喜
最近、演劇の映像ソフト化(DVD化)が盛んですね。演劇DVD販売専門のサイトも既に出ています。個人的に、この動きはとてもありがたいことと喜んでいます。意外と安いし、お手軽だし……でも、こんなことを言うと、
「何を言うか! 芝居は生で観なけりゃ芝居じゃない!」
なんて、一部の方からお叱りを受けるかもしれませんね。
そのお叱り、「ごもっとも」と思います。確かに、演劇は生で観てこそ演劇です。それは重々承知しているのですが、でもその上で、思うこともあるのです。
僕たちは普段、当たり前のようにテレビでK-1やサッカー日本代表の試合を楽しみますよね。格闘技もサッカーも、本当はアリーナやスタジアムで生で見る方が絶対に面白い…と言うより、もう生と映像では全くの別物でしょう。でもそんなことは百も承知の上で、それでもテレビにかじりつき、興奮するわけです。で、その試合に感動した時に思うことは、「やっぱり生で見たい!」なんじゃないでしょうか。だからこそ、試合のたびにテレビ放映されながら、つまりテレビで視聴可能にも関わらず、スタジアムに5万人、6万人もの人が足を運ぶんだと思うんです。
そう考えた時に、同じことが演劇でも言えるのでは? と僕などは愚考するわけです。演劇を映像化する。そこに生の芝居の何たるかは映らなくとも、脚本の素晴らしさや同時代性など、ちゃんと伝わる‘何か’も確実にあるはずで、その‘何か’はきっと消費者の足を今以上に劇場に向かわせるだろう、と。
実際、僕が初めて演劇に興味を持ったのも、きっかけは映像でした。深夜、両親が眠りに着くのを待って点けたテレビ。ちょっとエッチな何かを期待していた僕の目に飛び込んできたのは、当時飛ぶ鳥を落とす勢いだった【夢の遊民社】の公演……いつの間にか、見入っていました。それまでの僕の演劇に対するイメージをふっとばす、まさに衝撃。 翌日、その番組を見た奴を探しては、その芝居について、夢中になって話し合いましたっけ。
あれからもう20年ちかく経つわけですが、あの時の衝撃があればこそ、今、僕は小劇場に足を運んでいるわけなんですね。
というわけで、これからもどんどん芝居が映像化・DVD化されて欲しい。有名どころもそうでないのも取り混ぜて。更に欲を言えば、原価に近い価格設定で。この際、採算性は脇に置いて、呼び水と割り切って、ひとつお願いしたいところです。
…でも、小さな公演の多くは、劇中音楽がJASRACを通してなかったり、っていうのが結構問題になるんですよね……







